「テレビの音量が大きくなったと言われる」「会話中に何度も聞き返してしまう」といった悩みをきっかけに、聞こえをサポートする機器を探し始める方は少なくありません。
機器を探していると「補聴器」と「集音器」の2つを目にしますが、見た目は似ていても性質や用途は大きく異なります。
この記事では、補聴器と集音器の違いをはじめ、スペック表でよく見かける専門用語の意味、選び方のポイントについて分かりやすく解説します。
補聴器と集音器の違い
補聴器と集音器の大きな違いは、医療機器としての位置づけと、聞こえを補うための機能や調整方法にあります。
| 項目 | 補聴器 | 集音器 |
| 製品の区分 | 管理医療機器 | 医療機器ではない音響機器 |
| 主な目的 | 難聴による聞こえを補う | 周囲の音を集めて大きくする |
| 音の調整 | 聴力や使用環境に合わせた調整が可能 | 音量調節などの機能は製品によって異なる |
| 安全への配慮 | 医療機器としての規制がある | 機能や安全性は製品ごとに確認が必要 |
| 主な購入先 | 補聴器専門店、医療機器販売店など | 家電量販店、ネット通販など |
| 価格の目安 | 数万円〜数十万円程度(片耳) | 数千円〜数万円程度 |
※価格帯は一般的な目安であり、製品や機能、販売店によって異なります。
補聴器は、難聴による聞こえづらさを補うための医療機器です。聴力検査などの結果をもとに、一人ひとりの聞こえ方に合わせて調整します。製品によっては、音の高さや入力音の大きさに応じて増幅の程度を変えたり、雑音を抑えたりする機能も備えています。
一方、集音器は、マイクで拾った音を増幅して聞きやすくする機器です。音量調節や周波数調整などの機能は製品によって異なり、補聴器のように難聴者の使用を前提とした医療機器としての規制は受けていません。
なお、補聴器でも機能や調整方法は機種によって異なります。価格だけでなく、使用目的や調整・購入後のサポートも含めて比較することが大切です。
スペック表に出てくる専門用語(dB・ゲイン・周波数)の意味
製品の説明文やカタログを見ていると見かける専門用語についても確認しておきましょう。
dB(デシベル)とは?
dB(デシベル)は、音の大きさを表すときなどに使われる単位です。音の大きさを比較する場合は、どのような音を、どの位置で測定した数値なのかも重要になります。
音の大きさの目安は、次のとおりです。
- 20 dB程度: 静かな場所で聞こえる小さな音
- 60 dB程度: 普通の会話に相当する音
- 80 dB程度: 大きな道路の沿道などで聞こえる騒音の目安
- 100 dB程度: 非常に大きな音
これらはあくまで目安であり、実際の音の大きさは環境や測定条件によって異なります。
ゲイン(Gain/音響利得)とは?
ゲイン(音響利得)とは、機器に入力された音をどれだけ増幅するかを示す指標です。音響利得はdBで表されます。
例えば、入力音の音圧レベルが 50 dB で、機器の音響利得が 30 dB である場合、単純化した条件では出力音のレベルは 80 dB 相当になります。
ただし、実際の出力音は機器の設定や周波数、入力音の大きさ、最大出力の制限などによって変わります。そのため、カタログに記載された最大音響利得だけで、実際の聞こえ方や安全性を判断することはできません。
補聴器を選ぶ際は、最大音響利得の数値だけでなく、聴力に合った調整ができるかどうかも確認しましょう。
周波数(Hz/ヘルツ)とは?
周波数(Hz)は、音の高さを表す指標です。一般に、数値が大きいほど高い音になります。
加齢に伴う難聴では、高音域から聞こえにくくなる傾向があります。ただし、聞こえ方や難聴の原因には個人差があります。
会話では、声そのものは聞こえていても、サ行やタ行などの子音が聞き取りにくくなることがあります。その結果、「声は聞こえるのに、何を話しているのか分かりにくい」と感じる場合があります。
補聴器を選ぶ際には、音量を大きくするだけでなく、どの周波数の音が聞こえにくいのかを聴力検査で確認し、適切な調整を行うことが重要です。
自分に合った機器を選ぶポイント
ご自身の生活スタイルや困りごとに合わせて選ぶことが大切です。
1. 使用目的や生活シーンで選ぶ
- 補聴器が向いているケース
- 日常生活や仕事での会話をスムーズに行いたい場合
- 周囲の雑音を抑えて、必要な声を快適に聞き取りたい場合
- 専門家に聴力を確認してもらい、自分の聞こえ方に合わせて調整したい場合

- 集音器が向いているケース
- 「テレビの音量を少し下げたい」「たまに講義や観劇に行くときだけ使いたい」など、限定的な場面で使いたい場合
- まずは手軽な音響機器として音の増幅を試してみたい場合(※ただし、聞こえづらさが続く場合や、急に聞こえにくくなった場合は、集音器の使用よりも医療機関での確認を優先しましょう。)

2. 音の調整機能と出力性能を確認する
補聴器や集音器を選ぶ際は、最大音響利得の数値だけでなく、音量調節や周波数ごとの調整、最大出力を抑える機能なども確認しましょう。
聞こえにくさの程度や原因によって、適した機器や必要な調整は異なります。大きな音にすれば、必ずしも会話が聞き取りやすくなるわけではありません。
特に、集音器は周囲の雑音や突然の大きな音まで増幅する可能性があります。使用時は音量を低い設定から徐々に調整し、不快な音や耳への負担を感じたら使用を中止してください。
日常会話で聞き返すことが増えた場合や、テレビの音量を以前より大きくするようになった場合は、機器を購入する前に耳鼻咽喉科で聴力を確認することをおすすめします。
まとめ
補聴器と集音器は、医療機器としての位置づけや音の調整機能が大きく異なります。
- 手軽に周囲の音全体を大きくしたい場合: 集音器(音響機器)
- 自分の耳の状態に合わせて快適に会話を楽しみたい場合: 補聴器(管理医療機器)
聞こえづらさの原因には、加齢だけでなく耳垢の詰まりや耳の病気などが隠れている場合もあります。聞こえに違和感を覚えたら、自己判断で購入を決める前に耳鼻咽喉科を受診し、聴力検査を受けることをおすすめします。


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